連載「新米を味わう旅」
「森のくまさん」「ミルキークイーン」という商品名をご存知だろうか?「青天の霹靂(へきれき)」「ひとめぼれ」で、お気づきの方も多いと思う。いずれも、ブランド米(銘柄)の名称だ。それぞれ、味、食感、形に特徴があり、日本穀物検定協会が毎年実施する、米の「食味ランキング」試験によって、最高評価「特A」とそれに続く格付米が決まり、発表される。
米の収穫季節になると、都内の自治体アンテナショップでは販促キャンペーンが行われ、自慢のご当地米の味の特徴、栽培方法や、ご飯にあうローカルフードが紹介される。食べきりサイズのパッケージを販売する店も多く、各地の米を食べ比べることもできる。
おいしい米を求めて、銀座にある山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」を訪ねた。農家や産直市場から届いた青果類、加工食品、酒、スイーツなど千種類の特産品を取り扱っている。米コーナーには、食味ランキング十二年連続で特Aを獲得しているブランド米「つや姫」、同じく高評価を得た県の奨励米「雪若丸」などが並んでいる。また、つや姫の玄米が入手できるのも魅力だ。
同館の齋藤康有副店長の説明によると、つや姫は、地域ごとに生産されたものも販売しており、2㎏2800円もする高畠町のプレミアム米にも根強いファンがおり、売れ行きは好調だという。
山形県は有名な漬物の産地であり、青菜漬、小茄子の辛子漬、赤かぶ漬、晩菊などは食卓に欠かせないそうだ。漬物の他にも、地元で愛されご飯に合う食べ物があり、揚げ麩の煮つけ、しそ巻き(ごま・くるみ)、米沢牛のコンビーフなどを齋藤副店長に紹介していただいた。筆者は、つや姫と雪若丸(各2合入り)と、紹介いただいた商品をいくつか購入し、試食してみた。中でも、「塩納豆」(酒田市)は、ほのかな甘みがあり、塩味もまろやかで美味しい。新たな”味”に出会うことができた。 近年、日本人ひとり当たりの米の消費量は、減少の一途をたどっており、農林水産省の調査結果を見ると、2020年度は50.8㎏で10年前より8.7㎏減っている。また、2014年以降は、一戸当たりの年間のパンの支出が米を超えた。パスタ、ピザなど多様な料理が定着した現在、その流れは止め難いが、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」の魅力を再認識する良い機会になると思うので、新米の季節には、あたたかいご飯とみそ汁を各地の名物とともに味わいたい。
地域活性化センター 畠田千鶴
(Kyodo Weekly・政経週報 2022年10月3日号掲載)
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